ベトナムにおいてFDI企業を経営されている皆様の中には、優秀な人材の採用・組織構築・人材育成に課題を抱えている方も少なくありません。
本稿では、KMCが「試用期間から正社員へ至るプロセス」に関する道筋を明らかにし、さらに高品質な人材チームを形成するための手順をご案内いたします。これにより、持続的かつ健全な企業の発展に寄与することを目指します。
正社員とは何か?
正社員とは、企業と直接無期限の雇用契約を締結し、定年まで勤務することを前提とした社員を指します。入社当初の給与は契約に基づいて定められ、その後は勤続年数や昇給時の業績評価に応じて段階的に引き上げられます。
正社員の雇用契約は無期限であるため、経済不況や企業の業績悪化といった特別な事情を除けば、雇用は安定しており、失職の不安はほとんどありません。
特にFDI企業において、正社員は中核的な人材チームとして以下の効果を発揮します。
- 優秀人材の長期定着により再教育コストを40%削減
- 労働生産性を31%向上(Nielsen 2024年レポート)
- 事業拡大時における国境を越えた法令遵守を確保
契約社員とは何か?
契約社員とは、企業が一定期間の有期雇用契約を締結して採用する労働者を指します。契約期間は通常1年から3年であり、契約満了時には双方の合意に基づき契約を更新するか否かが決定されます。
契約社員の職務責任は正社員と比べて軽い場合が多く、そのため採用のハードルも低い傾向にあります。ここでの「契約」とは有期雇用契約を意味し、更新の際に勤務条件を見直すことが可能です。したがって、契約更新のたびにより良い労働条件を企業と交渉できる柔軟性があります。一方、契約期間が終了し、労使双方で合意に至らなかった場合、労働者は新たな職場を探す必要があります。
試用期間から正社員への「5つの黄金ステップ」
優秀な人材を発掘し、試用期間を経て正社員へ登用するまでのプロセスは、企業にとって長い道のりです。以下に、ベトナムに進出する日本企業の約80%が採用しているISO標準プロセスをKMCよりご紹介いたします。
ステップ1:初日から評価基準を設定する(0~30日目)
採用段階から入社初日にかけて、FDI企業は明確に以下を定める必要があります。
- 専門スキルに関する4つの主要KPI
- 企業文化に関する3つの基準(特に日本企業において重要)
- A-B-Cの明確な評価スコアリング
ステップ2:企業文化の継続的な教育(15~45日目)
FDI企業の人材候補者は以下を理解・習得することが求められます。
- 多文化環境における行動規範
- マトリクス型報告プロセス(特に外国人管理職に対して重要)
- 社内ISO基準
そのため、入社2週目以降の約1か月間は、試用期間中および実務を通じて企業文化を徹底的に教育することが必要です。
ステップ3:中間総合評価(30日目)
試用期間終了後に正社員登用を判断するため、企業は以下の基準に基づき総合的な評価を行います。
- 業務成果(50%)
- 協調性・協働姿勢(30%)
- 学習意欲(20%)
この評価は履歴確認チェックリストと合わせて実施します。
ステップ4:専門的な法的書類の準備(45~55日目)
従業員と企業の権利・義務を確立するため、有期または無期雇用契約の締結が必要です。FDI企業における正社員の標準的な書類セットには以下が含まれます。
- 正式な採用通知書(オファーレター)
- 無期雇用契約書
- 役職任命書(該当する場合)
- 給与・待遇に関する付属合意書
ステップ5:最終報告と意思決定(60日目)
一定期間の勤務を経た後、企業は最終的に正社員契約を締結するか、もしくは有期契約の更新を行うかを決定します。手順は以下の通りです。
- 期末評価書類の承認
- 任命決定の承認
- 新メンバー歓迎ブリーフィングの実施
FDI企業における労働者転換時によくある3つの失敗
これまで多くの企業での実例を踏まえ、KMCは人材採用および正社員チームの構築プロセスにおいて頻発する典型的な失敗を以下の通り整理しました。
- 評価基準の不透明さ:不合格となった応募者からの苦情につながる
- 契約書の未更新利用:改正労働法第23条への違反に該当
- 追加身元調査の省略:企業セキュリティ上の予測不能なリスクを招く
いずれの失敗も、法的トラブルの発生や企業ブランドの信用失墜を引き起こし、さらには企業の成長戦略そのものに深刻な影響を与える可能性があります。
FDI企業に対するKMCのトータルソリューション
試用社員を正社員へと転換することは、単なる事務手続きではありません。これは、多国籍環境における優秀人材の定着と人的資源の最適化を実現するための「アート(技術)」でもあります。
もしあなたが管理職として採用・教育を担当し、人事戦略の最適化や高品質な正社員チームの構築を望まれているならば、ぜひKMCにご相談ください。KMCはベトナムにおける数百社に及ぶ日系企業へのコンサルティング実績を有し、貴社が直面する特有の課題を熟知しています。
KMCは以下のような包括的人事ソリューションを提供いたします。
- 英語・日本語・ベトナム語による標準化された二言語/三言語労働契約書の作成
- 日本基準に基づく試用期間評価制度の導入コンサルティング
- 雇用決定前の法的リスクレビュー
- 2025年ベトナム労働法改正に即した自動アップデート情報の提供
さらに、税務・会計・人事など企業運営に関わる最新法令に精通した経験豊富な専門家・弁護士が伴走し、あらゆる課題に対応するプロフェッショナルなソリューションを提供します。これにより、企業と従業員双方にとって最適な利益を確保いたします。
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参照: 人材の重要性