御社の業務が順調でも、リスクマネジメント体制は必要でしょうか?―答えは「必要」です。

国内企業と比較して、FDI(外国直接投資)企業は、法規制の変更や市場の変動など、より多くの課題に直面します。そのため、FDI企業におけるリスクマネジメント体制の構築は極めて重要です。しかも、それは国際基準に準拠しつつ、現地の実情にも適応している必要があります。

本記事では、KMCが「企業リスクマネジメントとは何か」、そして「効果的なリスクマネジメント体制を構築するためのステップ」について、分かりやすくご紹介します。

企業リスクマネジメントとは?

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まず、「リスク」とは、予期せぬ出来事が発生し、財務的損失や生産中断など、事業活動に悪影響を及ぼす可能性を指します。

リスクマネジメントとは、企業がこれらのリスクを事前に特定・評価・管理し、悪影響を最小限に抑えると同時に、可能であればその中にあるチャンスを活かすための一連のプロセスです。

これは特定の担当者だけの責任ではなく、部門横断的な連携が求められる取り組みです。そのため、経営陣はリスクマネジメントの重要性を全社に浸透させるために、トップダウンでの理解と協力体制を築くことが必要です。

たとえば、経営者がリスクマネジメントに関する会議やディスカッションに積極的に参加し、そのビジョンや重要性を明確に共有することで、社員が「リスクマネジメントは一部門の業務ではなく、自分たち全員の責任である」と実感するようになります。

また、経営層が率先してオープンなコミュニケーションを実践することで、社員が不安やリスクに関する懸念を自由に発言できる環境を整えることが重要です。社員が安心して意見を述べられる文化があってこそ、企業はリスクを早期に発見し、的確に対処することが可能になります。

なぜFDI企業にとってプロフェッショナルなリスクマネジメントシステムが必要なのか?

ベトナム市場で活動する外資系企業(FDI企業)は、新たなビジネス環境、文化的な違い、市場の変動など、特有の課題に直面しています。したがって、プロフェッショナルなリスクマネジメントシステムは、単なる「防御の盾」ではなく、FDI企業が持続的に成長するための「羅針盤」としての役割を果たします。以下はその具体的な理由です:

  • まず、リスクマネジメントシステムから得られる正確なデータは、FDI企業が危機の兆候などの問題を早期に発見するのに役立ちます。これにより、企業は迅速に予防策を講じて損失を最小限に抑え、信用を守ることができます。
  • 次に、このシステムは業務効率の向上にも貢献します。従来のように感覚に頼った判断ではなく、実データに基づいて明確な戦略を構築し、リソースを最適化し、迅速な意思決定を可能にします。これは、ベトナム市場への適応を求められるFDI企業にとって特に重要です。
  • 最後に、リスクマネジメントは守りだけでなく、ビジネスチャンスを生み出す力も持っています。データ分析により、市場拡大や製品改善などの潜在的な機会を発見し、競争優位性を高め、投資資金の活用効率を向上させることができます。

企業リスクマネジメントにおけるステップバイステップのプロセス

· 目標の設定

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リスクマネジメントを通じて何を達成したいのかを明確にしましょう。為替変動や政策変更などの市場動向を考慮し、潜在的なリスクを予測します。そのうえで、即時のコスト削減といった短期目標から、持続可能な戦略の構築といった長期目標まで、具体的な目標を設定します。

· リスクの特定

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リスクを特定するには、企業文化の問題や市場からの外部リスクなど、社内外のあらゆる要因を調査する必要があります。リスクの見落としを防ぐために、チェックリストを活用したり、従業員やパートナーへのインタビューを通じて、資産や人材などのリスク源を詳細に洗い出すことが重要です。

· リスクの分析と評価

リスクの発生確率や発生した場合の影響を評価します。その後、それぞれのリスクの深刻度と頻度を比較し、優先的に対応すべき重要なリスクから順にランク付けを行います。

·リスクへの対応

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リスクの種類や状況に応じて、企業は以下のような対応策を選択できます:

  • 高いリスクが予測されるプロジェクトには参加せず、たとえ大きな利益のチャンスを逃すことになっても、リスク自体を避ける方法です。
  • 業務プロセスや管理体制の改善などを通じて、リスクがもたらす影響を最小限に抑えます。
  • 保険に加入したり、第三者(例:アウトソーシング先)と契約することで、リスクを他者に移します。
  • パートナーと共同で投資を行い、リスクと利益を分担します。
    例:2012年のPCI-FDI調査に参加した1,540社のFDI企業のフィードバックによると、約50%の投資家が、地元企業との合弁事業を通じてリスクの最小化を図る戦略を選択しています。
  • リスクが小さく、それ以上に得られる利益が大きい場合、そのリスクを受け入れるという選択肢もあります。
  • モニタリングと改善

企業は常に状況をモニタリングし、導入した対策の有効性を検証することが重要です。新たに発生する可能性のあるリスクに備えるため、継続的なアップデートを行うことで、リスク管理プロセスが常に柔軟かつ現実に即したものとなります。

企業のリスクマネジメント体制は、目の前の困難を乗り越えるだけでなく、将来の戦略的な発展にもつながる重要な基盤です。

リスクの重要性を理解し、専門的なリスク評価サービスをお探しであれば、ぜひKMCをご検討ください。

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