従業員の給与計算においてお困りではありませんか。例えば、従業員が月の途中で退職する場合、産休を取得する場合、または労働契約を一時的に停止する場合、どのように処理すべきでしょうか。計算の誤りによって、社内不満や法的リスクにまで発展することをどのように防ぐか。本稿では、KMCがFDI企業向けに、ベトナム法に準拠した正確性・透明性を確保する標準給与計算プロセスを詳細にご案内します。あわせて、従業員の給与計算における特別なケースへの対応方法についても解説します。
FDI企業向け標準的な7ステップ給与計算プロセス
FDI企業における効果的な給与計算プロセスは、「公平性・正確性・効率性」の3つの核心要素を確保しなければなりません。
企業が容易に給与計算プロセスを構築・最適化できるよう、以下にKMCが人事のトップ専門家から推奨されている7ステップの給与計算プロセスをご案内します。
ステップ1:入力データの収集と確認
これはプロセス全体の正確性を左右する重要なステップです。収集すべきデータは、正確かつ完全で、適時でなければなりません。
- 勤怠表(実労働時間、残業時間、有給休暇、無給休暇など)
- 売上・生産データ(出来高給与、売上インセンティブに関するもの)
- 賞与・罰則・手当(昼食、交通、役職、有害業務など)に関する決定事項
- 控除項目に関する情報(社会保険、医療保険、失業保険、個人所得税、前払いなど)
- 契約・人事異動情報(入社、退職、配置転換など)
ステップ2:収入額の計算
給与計算式を正確に適用します(例:時間給、出来高給、3P給与制度)。さらに会社規定や労働契約に基づく賞与や手当を加算します。
※参照:3P給与とKPI!
ステップ3:控除額の計算
控除額を正確に算定します。
- 社会保険(社会保険・医療保険・失業保険):最新の規定に基づき保険料算定基礎給与から算出
- 個人所得税:累進課税表および適法な扶養控除を基に算定
- 前払い・懲戒による控除(該当する場合)
※注意:給与の控除は、ベトナム労働法第102条、第103条に厳格に従わなければなりません(詳細は政府電子情報ポータルを参照)。
ステップ4:実支給額の確定
実支給額 = 総収入 - 総控除額
ステップ5:給与表の作成とクロスチェック
スプレッドシートまたは専用ソフトを用いて、従業員ごとの詳細給与表を作成します。別の人事担当者または管理職によるクロスチェックを行い、誤りがあれば修正します。
ステップ6:承認手続き
給与表を確定後、権限ある者(社長、経理部長など)に提出し、支給前に承認を得ます。
ステップ7:支給と記録の保存
- 合意された方法(振込、現金)により、期限内に給与を支給します。
- 給与表、勤怠表、決定通知などの給与関連記録を法令で定められた保存期間に従い、完全かつ秘密裏に保管します。
※注意:企業は個人情報保護規定を厳格に遵守する必要があります。
給与計算プロセスにおける7つのよくあるミスとその防止策
標準的な給与計算プロセスを導入していても、依然としてミスが発生する可能性があります。以下に、KMCがFDI企業の正確性や信用性に影響を及ぼしかねない代表的なミスとその防止策をまとめました。
入力データの誤り
- ミス:勤怠記録の不正確さ、承認済み残業時間の記録漏れ、新規入社・退職者情報の未更新。
- 防止策:勤怠管理をデジタル化(指紋認証、顔認証)、残業報告・承認プロセスを明確化、労働者名簿やHRMSシステムを変更が発生した時点で即時更新。
手当・補助金の計上漏れ
- ミス:役職手当、有害業務手当、通勤手当、昼食補助など、労働契約・労使協定で定められた手当を失念します。
- 防止策:職位・部署ごとに適用される手当・補助金を網羅的にまとめた一覧表を作成。給与計算前に労働契約および労使協定を確認ます。
社会保険・個人所得税の計算ミス
- ミス:拠出率や対象者を誤適用、個人所得税を誤った税率で計算、扶養控除を失念します。
- 防止策:ベトナム社会保険機関・税務総局など信頼できる情報源から最新の規定を随時更新。新制度対応の自動計算ソフトを利用。給与担当者に専門的な研修を定期的に実施します。
支給期日の不遵守
- ミス:労働契約で定められた支給日(通常は月末営業日または翌月初)より遅延。これは労働法違反であり、従業員の不満や企業への制裁に繋がる可能性あります。
- 防止策:早めに給与計算を計画し、支給日の3~5営業日前までに社内プロセスを完了させます。
給与明細の不透明性
- ミス:従業員が自身の給与計算方法を理解できず、不信感や苦情に繋がります。
- 防止策:収入項目や控除項目を明確に記載した分かりやすい給与明細(電子・紙)を提供します。さらに人事部門が従業員からの質問に丁寧かつ正確に対応します。
情報セキュリティの不備
- ミス:従業員の給与情報が社外や不要な社内関係者に漏洩。これは個人データ保護法違反であり、社内の不和を招く可能性あり。
- 防止策:給与データへのアクセス権限を厳格に管理し、セキュリティシステムを導入。従業員に情報保護の研修を実施。
給与関連記録の未保存・不十分な保存
- ミス:監査や苦情時に必要な資料が不足。
- 防止策:給与記録をデジタル化し、法令で定められた保存期間(通常5~10年)を厳格に遵守。
FDI企業における「特別」給与計算ケースへのスマートな対応
標準的な給与計算プロセスであっても、想定外のケースに直面することがあります。こうした場合に正確な給与計算を行うために、KMCは企業がしばしば戸惑う典型的なケースに対する詳細な処理方法をご案内します。
従業員が月途中で退職する場合
- 計算方法:当月の実際勤務日数に基づいて日割り計算します。計算式:
(月給 ÷ 当月の所定労働日数) × 実勤務日数 - 法的リスク:退職後の給与を遅延支払いすることは労働法上の重大な違反です。
※注意:最終支払時に、給与+手当・補助金(該当する場合)+保険+退職手当(条件を満たす場合)を全額支払う必要があります。不当な罰金控除は認められません。
従業員が産休に入る場合
産休手当は社会保険基金から給付されます。給付額 = 休業前直近6か月間の社会保険拠出対象月額給与の平均額の100%。
企業はこの期間給与を支払う義務はありません(ただし、独自の福利厚生制度がある場合を除く)。
※注意:産休中も社会保険加入を継続する必要があります。規定に基づき休業期間(6か月)を正確に算定し、復職後の権利を確保します。
労働契約を一時停止する場合
原則:一時停止期間中は給与は発生しません。ただし、双方で別途合意がある場合はその限りではありません。
※注意:一時停止に関する合意は書面で行い、理由と期間を明記する必要があります。また、この期間中の社会保険の取り扱いを正しく処理すること(通常、継続希望者は自己負担で拠出)。
従業員が無給休暇を取得する場合(Unpaid Leave)
計算方法:無給休暇日数分を差し引きます。計算式:
(月給 ÷ 所定労働日数) × 実勤務日数
※注意:無給休暇には承認済みの申請書が必要です。また、社会保険の連続加入期間に影響します。
月途中で配置転換があり給与が変わる場合
計算方法:当月の勤務日数に応じて、各ポジション/給与水準ごとに分割して算出。
※注意:異動の決定書に発効日と新給与額(変更がある場合)を明記する必要があります。給与担当部署への速やかな通知が求められます。
企業はこれら各ケースを正確に処理することで、法令遵守を確保し、法的リスクを回避できるだけでなく、従業員への専門的かつ誠実な対応を示すことができます。特に高度人材を抱えるFDI企業にとっては、初期段階から標準的なプロセスを構築・適用することが、専門性を体現し、従業員の定着を促し、企業と持続的につながる質の高い人材チームの形成に大きく寄与します
KMC:FDI企業向け「ミスのない」プロフェッショナル給与計算プロセス構築コンサルティング
企業経営者として、時間を節約し、効率性と最高水準の正確性を確保できる包括的なプロフェッショナル給与計算ソリューションをお探しではありませんか。企業の規模やニーズに即した標準的な給与計算システムを構築・完成させるために、信頼できる専門パートナーをお求めではありませんか。
ぜひKMCにご相談ください。KMCは、特に日系FDI企業を中心に、FDI企業向けの税務・会計・人事に関する包括的なソリューションを提供するコンサルティング会社です。当社は、企業が正確無比でベトナム法に完全準拠した給与計算プロセスを構築・維持できるようサポートいたします。
KMCの人事・給与コンサルティングサービスがもたらす主なメリットは以下のとおりです:
- 標準的な給与計算・支給プロセス:業種、規模、FDI企業固有の企業文化に合わせて設計された給与計算プロセスをご提供(出来高制、3P給与制度のような複雑な形態も含む)。誤り防止機能や特別ケースへの対応手順を組み込み済み。
- 充実かつ最新の帳票・資料システム:勤怠表、標準フォーマットの給与計算表から、従業員への透明な説明プロセスまで、入力段階から正確性を確保し、効果的に運用。
- ベトナム法令遵守の徹底:労働法、社会保険法、個人所得税法および関連ガイダンスに精通した専門家チームが、企業を不必要な法的リスクや罰則から守ります。
- 時間とコストの削減:プロセスと給与計算ソリューションを最適化することで、人事・経理部門を誤りやすい手作業計算から解放し、人的資源戦略の発展に集中可能。
- 従業員の信頼と満足度の向上:透明なプロセス、正確な給与、明確な説明により、従業員の安心感を醸成。
- 日系企業への専門支援:日本独自のビジネス文化やマネジメントニーズを理解し、必要に応じて日越二言語対応のソリューションや資料を提供。
以上、KMCより、FDI企業に即時適用可能な標準給与計算プロセスをご紹介しました。あなたの企業では、正確な給与・賞与計算プロセスをすでに構築済みでしょうか。それとも給与計算に課題を抱えていませんか。
ぜひKMCの専門家にご相談ください。プロセス構築から、プロフェッショナルな給与計算手法の導入まで、最高水準の効率性と正確性を保証いたします。
直接のご相談はホットライン:+84 91 988 9331 へ。KMCの経験豊富な専門家チームが対応いたします。