会計年度末は、会計担当者および企業経営者(FDI企業を含む)にとって、税務申告および保管のための会計帳簿を完成させ、印刷するという大きな負担がかかる時期です。本稿では、KMCが、準備すべき帳簿の種類一覧を提示し、自身で正確かつ完全な会計資料一式を作成できるよう、帳簿の印刷方法および整理方法について具体的に解説します。

会計帳簿を完全に印刷することの重要性

法的要件および監査対応への適合

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ベトナムで活動するFDI企業は、現地法に基づく厳格な会計および税務規定を遵守しなければなりません。
会計帳簿を完全かつ明確に、また会計基準に従って印刷することで、監査機関または税務当局に対して必要な資料を容易に提出することができます。
これは、行政罰のリスクを回避するだけでなく、取引先および監督当局から企業への信頼性を高める効果もあります。

情報の明確性と正確性の確保

企業のすべての財務取引は、会計帳簿に詳細かつ体系的に記録されており、必要に応じて誤りがないかを確認することができます。
これにより、迅速な修正が可能となり、すべての情報の正確性が確保されます。

年次財務諸表作成の支援

会計帳簿は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの主要な財務諸表を作成するための基礎資料です。
したがって、これらの帳簿を印刷しておくことで、会計担当者はデータをより正確かつ効率的に集計でき、経営陣による戦略的意思決定を支援します。

年末に印刷が義務付けられている会計帳簿一覧

総合会計帳簿(総勘定帳簿)

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これは会計帳簿の中核部分です。
ただし、帳簿記入の形式は企業ごとに異なる場合があり、「総勘定日記帳方式」「仕訳帳・総勘定元帳方式」「伝票日記帳方式」「伝票記入方式」などが存在します。
各方式に応じて、以下の帳簿を印刷する必要があります。

  • 総勘定日記帳(総勘定日記帳方式を採用している場合)
  • 仕訳帳・総勘定元帳(仕訳帳方式を採用している場合)
  • 伝票日記帳第7号・第8号(伝票日記帳方式を採用している場合)
  • 記入伝票(伝票記入方式を採用している場合)

ワンポイントアドバイス:
印刷前に必ず自社の帳簿記入方式を確認し、不要な帳簿を印刷しないよう注意しましょう。

各勘定科目の総勘定元帳

この部分は、会計年度の貸借対照表に完全に基づいて作成されます。
会社において発生した勘定科目の数に応じて、同数の総勘定元帳(総合会計帳簿)を出力する必要があります。
具体的には、次のような勘定科目の総勘定元帳が含まれます。
例えば、勘定科目111(現金)、勘定科目112(銀行預金)、勘定科目131(売掛金)などです。

勘定科目別補助簿(明細帳簿)

企業において該当する取引が発生した場合には、以下の勘定科目別補助簿を漏れなく印刷・保存する必要があります。主な帳簿は次のとおりです。

  • 現金:現金入金日記帳、現金出金日記帳、現金出納帳

  • 銀行預金:預金明細帳(毎月の銀行取引明細書を添付)

  • 債権・債務:得意先債権明細帳、仕入先債務明細帳

  • 固定資産(TSCĐ):固定資産増減総括簿、固定資産減価償却簿

  • 工具・器具・備品(CCDC):工具・器具・備品増減総括簿、工具・器具・備品配賦表

  • 原材料・商品:原材料カード、製品・商品カード、在庫入出庫総括表

  • 給与:月次勤怠表、月次給与台帳

実務における帳簿の印刷および整備の手順

会計ソフトからの帳簿準備および印刷

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まず、データが完全かつ正確に入力されており、専門会計ソフトウェアに適切に保存されていることを確認します。

要件を満たしていれば、ソフト内の「報告書」または「帳簿印刷」メニューから、年度末に印刷すべき帳簿の種類を選択して印刷を行います。

印刷された帳簿には、伝票番号、日付、内容、金額、借方貸方科目などの必須項目がすべて含まれている必要があります。
また、ソフトが対応している場合は、「ベトナム会計基準(VAS)準拠で印刷」というオプションを選択することで、通達200/2014/TT-BTCおよび関連法令の形式に適合させることができます。

ヒント:

  • 印刷時にはTimes New RomanまたはArialフォント、文字サイズ12~14ptを使用すると読みやすくなります。

  • 余白(マージン)は各辺2cm以上確保し、内容の切り取りを防ぎます。

  • 大量印刷の前に試し印刷を数ページ行い、誤りによる全刷り直しを防止します。

  • レーザープリンタを使用すると、印字品質が高く、かすれやにじみを防げます。

  • A4サイズが帳簿印刷の標準であり、保存性・法令適合性に優れています。
    長期の補助簿や明細表についてはA3横サイズの使用も検討可能です。
    A5サイズは簡易的なメモ帳や要約版に限り使用します。
    特に外資系企業(FDI企業)の場合、A4サイズを採用するのが法令上・監査上もっとも安全です。

帳簿を製本前に整理する手順

この工程は、後日帳簿を迅速かつ正確に照会できるかどうかを左右する極めて重要な段階です。
企業の規模や帳簿の量に応じて、一般的に以下の2つの整理方法があります。

帳簿が少ない場合は一括でまとめて保管しても問題ありませんが、帳簿の種類が多い場合は月別または四半期別に分けて管理すると効率的です。

方法1:伝票グループ別に整理(確認しやすい構成) 

総合グループとして整理する場合

関連性のある帳簿・証憑をまとめて保管します。

  • 税務申告書(四半期):付加価値税、法人税、個人所得税、銀行取引などを第1四半期~第4四半期まで一括で綴じます。

  • 仕入れ発票(入力発票):日付順に昇順で整理。

    • 20,000,000VND以下・現金払いの場合:支出伝票および入庫伝票を添付。

    • 20,000,000万VND超・銀行振込の場合:入庫伝票、支払委任状の写し、および仕訳伝票を添付。

  • 売上発票(出力発票):同様に日付順で整理。

    • 現金回収の場合:発票、領収書、出庫伝票を添付。

    • 銀行振込の場合:発票、出庫伝票、契約書、入金通知書(写し)を添付。

個別グループとして分離管理する場合

以下の証憑類を独立して管理します。

  • 銀行関係証憑(入出金伝票、委任状、残高証明など)

  • 社内出庫伝票

  • 配賦表、減価償却表、入出庫在庫報告書

これらは書類が少ない場合は一括保管、多い場合は月別で分冊します。

方法2:年度初から年度末までの時系列順(論理的順序)で整理

次の順序で整理すると、監査や内部検証時の確認が容易になります。

  • 四半期別税務申告書:付加価値税、個人所得税、銀行取引請求書使用報告書(BC26)、財務諸表(BCTC)等を月別(1〜12)または四半期別に整理します。
  • 仕入発票:申告書上の日付順に昇順で整理。原本発票には入力付加価値税明細表番号を記載し、写しを支出伝票に添付します。
  • 売上発票:同様に日付順で整理(原本+写しを対応させます)。
  • 支出伝票:発票、入庫伝票、契約書などを添付。書類が少ない場合は12か月分を1冊にまとめ、多い場合は月別に1冊とします。
  • 収入伝票:支出伝票と同様の方法で整理します。
  • 銀行証憑:取引明細書順(借方/貸方通知書、支払委任状、国家予算納付票など)に整理。これも12か月分一括または月別分冊のいずれかとします。
  • 出庫伝票:書類が少なければ12か月一冊、多い場合は月別で分けます。
  • 配賦表・減価償却表・入出庫在庫報告書(勘定科目142・242・214・152):12か月分を1冊にまとめます。
  • 仕訳伝票:12か月分一括、または月別冊子。

最後に、仮留めとしてクリップまたは糸で軽くまとめてから製本すると、順番の入れ替わりを防ぐことができます。

帳簿の製本

整理が完了したら、次は帳簿をより専門的に見えるよう製本する段階です。
製本の方法としては、総勘定元帳や財務諸表などの主要帳簿には破損防止のため厚紙表紙を使用し、請求書・支払伝票などの補助帳簿にはコスト削減のため薄表紙を使用します。
帳簿はホチキス止めや糊付けで固定しても構いませんが、後日追加・修正の可能性がある場合はスパイラル製本をおすすめします。

表紙には明確に帳簿名(例:「2025年度仕入請求書明細帳」)、企業名、会計年度、作成者の署名を記載してください。

ページ番号の付与と綴じ合わせ

ページ番号は1から最終ページまで連続して付けます。番号はページ下部の右端または中央に記載してください。
また、改ざん防止のため、各ページの間に綴じ合わせ印(もしくは赤い糸など)を施します。その際、各綴じ合わせ部分には会社の印章および権限者(経理部長または代表者)の署名が必要です。

署名および押印の適正手続

最終工程は、帳簿を法的に有効化することです。適切に手続きを行うことで、税務当局の調査時にも自信を持って対応できます。

署名

  • 作成者(会計担当者):各原始証憑に署名します。

  • 経理部長(または主計責任者):帳簿全体を確認・署名します。

  • 代表取締役または法定代理人:帳簿の最終ページに署名します。特に財務諸表および税務申告書には必須です。

  • 署名は青または黒のインクペンを使用し、日付を明確に記載してください。

押印
法令(電子インボイスおよび会計証憑に関する政令第123/2020/ND-CP)により、帳簿には企業の正式な赤い印章を押すことが求められています。
したがって、企業印(丸印)を用い、印影が鮮明であることを確認してください。

外資系企業にとって、帳簿を完全な形で印刷・製本することは、ベトナム税務当局への対応のみならず、本社への報告の観点からも極めて重要です。
もし社内に帳簿を適切に整備できる人材がいない場合は、KMC のような信頼できるアウトソーシング会計サービス会社に依頼することをおすすめします。
KMCは、ベトナムおよび国際会計基準の双方に精通しており、コストの最適化と法的リスクの完全防止を実現します。