サステナビリティ報告(ESG報告)は、証券取引所に上場している企業にとって、もはや目新しい用語ではありません。2013年1月11日、ベトナム国家証券委員会と国際金融公社(IFC)は、ベトナム企業向けに「サステナビリティ報告書作成ガイドライン」を共同で発行しました。
国際連合の推奨に基づき、各企業はサステナビリティ報告書を作成すべきとされています。これは、事業活動、サプライチェーン、投資判断における透明性の向上と持続可能性の確保を目的としています。

サステナビリティ報告とは何か?
サステナビリティ報告とは何か?
サステナビリティ報告とは、企業の持続可能な発展を目指す活動について、測定・開示を行い、関係者に対して説明責任を果たす実務を指します。
証券取引所に株式を上場している企業は、サステナビリティ報告を実施することが推奨されており、自社の事業活動に関する情報、とりわけ環境面および社会面に関する成果を開示することが期待されています。
この報告書には、企業の持続可能な発展に向けた方針や意欲が示されるだけでなく、目標達成に向けた行動計画についても、能動的に評価・検討する内容が含まれます。
サステナビリティ報告の利点
サステナビリティ報告は、企業が投資家との信頼関係を構築・強化するだけでなく、事業リスクの効果的な管理にも寄与します。
近年では、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する情報を年次報告書に組み込む企業が増加しており、これはサステナビリティと企業の業績・収益性との関連性をある程度示すものとなっています。

サステナビリティ報告の利点
以下に、国家証券委員会が公表し、企業に対して実施を推奨している主な利点を挙げます。
リスクおよび新たなビジネスチャンスに対する理解を深めるための経営管理ツール
ビジネスにおける革新と発展の潮流は絶え間なく続いています。新たなトレンドを予測し、計画を立てるためには、責任の明確な分担や、事業効率を最適化するための内部体制の構築など、企業が十分に準備を整える必要があります。こうした取り組みは、持続可能性報告の実施を通じて可能となります。
ステークホルダーの利益への配慮
ステークホルダーには、従業員、顧客、取引先、投資家、政府機関、メディアなどが含まれます。企業がサステナビリティ報告を実施することは、これらの関係者に対して企業の信頼性と透明性を示すものであり、信頼構築を通じて企業の信用力およびビジネス力の向上につながります。

サステナビリティ報告の利点
ビジネス価値の可視化・定量化
現在、投資家は企業のESG(環境・社会・ガバナンス)に関する戦略と持続可能な成長に対して高い関心を寄せています。ESGに取り組む企業は、投資家からより高い評価を受ける傾向にあり、競争力の向上にも寄与します。また、多くの国の政府は、持続可能な成長を目指す企業に対して支援や優遇措置を提供しています。
持続可能な活動による投資効果の向上
サステナビリティ報告は、明確な測定基準とともに、リスク管理および目標に関する情報を公開・透明化するものです。リスク管理を適切に行うことにより、より良い投資成果が得られるとされています。
ベトナムにおけるサステナビリティ報告の現状
2024年末時点で、企業によるサステナビリティ報告書の作成件数は、2023年の21件から33件へと増加しました。2024年11月16日に開催された第17回上場企業表彰イベントでは、例年と比較して、サステナビリティ報告を行う新たな企業の参加が見られました。
この選定イベントにおいて審査委員会は、報告書の数だけでなく質も向上していると評価しています。特に報告書の構成に対する企業の意識が高まり、より丁寧かつ体系的に作成されるようになってきています。

ベトナムにおけるサステナビリティ報告の現状
ベトナム国内では、KMCは優れた報告構成を有する代表的な企業として、いくつかの企業名を挙げています。
例えば、Vinamilkは、2023年に「変化に心を込めて – ネットゼロ2050」というテーマでサステナビリティ報告書を発表しました。本報告書では、ISO 14064に基づく温室効果ガスのインベントリや、国際基準PAS 2060:2014に準拠したカーボンニュートラルを達成した事業単位など、ネットゼロ達成に向けた取り組みが詳細に示されています。
また、ACB銀行は、ベトナムにおいて初めて、グローバル・サステナビリティ報告基準委員会(GSSB)による情報開示基準に基づいた、独立したサステナビリティ報告書を公表した金融機関です。
結論
一般的に言えば、ベトナム企業に限らず、世界中の企業がサステナビリティ報告の開示に対する意識を高めており、その実施においても透明性と公開性の確保が進んでいます。
一定のメリットが認識される中で、専門家たちは、サステナビリティ報告が今後、企業にとって重要な標準(スタンダード)となっていくと指摘しています。
また、投資家が企業を評価・審査する際の判断基準の一つとしても、サステナビリティ報告はますます重視されるようになると考えられます。